住宅ローンは本人が居住することが前提。賃貸に出す前に融資契約内容を確認し、金融機関に相談を。対応は金融機関や返済内容によって異なる場合もある
住宅ローンは、一般的に融資を受けた本人か親族が居住することが条件となっている。無断で他人に貸すと契約違反となり、一括返済を求められることがあるので要注意だ。
今一度、金融機関と取り交わした金銭消費貸借契約書の契約内容がどうなっているのか確認をしてみよう。
基本的には、金融機関に相談の上、同じ金融機関の賃貸住宅ローンに切り換えをしたり、金利などの条件が変更されることになったり、別の金融機関の賃貸ローンに借り換えをしたりすることになる。一般的に、通常の賃貸ローンは住宅ローンより金利が高い。
切り換えには切換手数料(1万円程度)がかかることが多く、借り換えとなると、事務手数料、抵当権設定費用、印紙税、保証料などの諸費用が、数十万円程度発生する。例えば、借入額2000万円、20年返済の場合では約50万円程度かかる(金融機関や融資内容によって異なる)。
アンケート「貸し出し前や貸し出し時に困ったことは?」(複数回答)の質問に対する回答で「住宅ローン返済中の金融機関に金利などの条件を変更された」が4.1%、「住宅金融支援機構のローンなので、借り換えが必要になった」が0.5%と少数ながら、困ったこととして挙げられている。
賃貸ローンへの借り換えを求められるケースや、適用金利を上げるケースのほか、金利優遇を受けている場合、それが適用されなくなるケースも。金融機関によっては、一時的な転勤や海外勤務など想定していなかったやむを得ない事情の場合は、証拠となる書類の提出や返済の継続に問題がないことを条件に、融資条件の変更をせず、不在の期間、賃貸に出すことを認めているケースもある。
原則として、本人の居住用以外の用途には利用できないことになっているので、民間金融機関のローンに借り換える必要が生じる。
ただし、転勤や転職、長期療養、返済困難(規定要件に該当)、その他生活状況の変化等、やむを得ない理由で一時的に融資住宅に居住できない場合については、その期間中、家を管理する者を選任することで返済を継続できる。
原則として本人の居住以外の用途には利用できない。対応は金融機関ごとに異なり、融資条件や返済状況などの判断次第でも変わる。
住宅ローンを利用して家を購入すると、一定期間、税金の住宅ローン控除を受けることができる(延べ床面積50㎡以上など条件に合致している場合)。その家に住まないことになった場合は、住宅ローンの返済が続くとしても、控除を受けられなくなる。少数意見だが、アンケートで「住宅ローン控除が受けられなくなった」というコメントもあった。
また、転勤してから2年後に持ち家に戻るといった場合、その不在の期間は適用の対象外となり、また、その分の期間が延長になることはない。持ち家に戻ったときに控除の適用を受けるためには、転出前に届出書や特別控除証明書などの必要書類を税務署に提出する必要がある。
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文/金井直子 イラスト/江口修平 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー