転勤や海外勤務で持ち家が空くことになったが、いずれは元の家に戻るからと、賃貸に出すのを躊躇する人も多いだろう。だが、期間限定で貸す方法もあることを知っておこう
持ち家に住まないことになって「貸し出す」ことを選択した際、
通常の賃貸契約である「普通借家契約」では、入居者(借主)が希望すれば、貸主に正当な理由がない限り、更新しなくてはならない。期間限定の転勤や海外勤務で、いずれ持ち家に戻る時期が決まっている場合は、「定期借家契約」を結ぶとよいだろう。
普通借家契約と定期借家契約の主な違いは下図の通り。
■「普通借家契約」と「定期借家契約」の違い
普通借家契約 | 定期借家契約 | |
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契約期間 |
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更新の有無 |
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入居者からの中途解約 |
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貸主からの解約 |
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注意点 |
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特に注意すべき点は家賃の設定だ。一般的に賃貸住宅を探している人は、契約を更新してその後も住みたい・住み続ける可能性をもちたいと考えるので、契約期間が限定された定期借家契約を避ける人は多いと考えられる。そのため、家賃を普通借家契約に比べて安くしなければ入居者が決まりにくいという面がある。だが、たとえ家賃収入が相場より安いとしても、決まった時期に持ち家に戻れる安心感はお金には代え難い面もある。
また、2~3年という比較的短期間で持ち家に戻るので、見知らぬ他人に家を貸すのをためらう人もいるだろう。身内や友人・知人に貸すなら安心と考えて、そうしている人も少なくはないようだ。その場合、身内だからと賃貸借の契約についておろそかにせず、きちんと定期借家契約で契約書を取り交わしておきたい。
転勤や海外勤務で持ち家から遠く離れて暮らす場合、問題となるのが入居者募集や契約手続き、入居者管理・建物管理など、「大家さん業」をどうするかということ。
そうした場合は、仲介と管理を一括で委託する「リロケーションサービス」のある不動産会社を選ぶとよい。委託費用は仲介手数料などのほかに管理費として家賃の5%~10%程度や定額制(管理内容や会社によって異なる)といった場合が多い。
リロケーション専業会社や大手不動産会社、中堅不動産会社まで、サービスを展開している会社はさまざまだ。家賃保証や明け渡し保証、メンテナンス無料などの付加サービスを提供している会社も。なかには、海外引越し・予防接種サポート・健康診断手配・トランクルーム手配・郵便物転送・不用品の買い取りサービスなどまで提供している会社も登場している。
賃貸経営を賢く行うためのノウハウや豆知識、成功のためのコツなどをご紹介いたします。
文/金井直子 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー