「定期借家契約」なら
期間限定で貸せるから安心

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転勤や海外勤務で持ち家が空くことになったが、いずれは元の家に戻るからと、賃貸に出すのを躊躇する人も多いだろう。だが、期間限定で貸す方法もあることを知っておこう

家を貸す期間や将来を考える

持ち家に住まないことになって「貸し出す」ことを選択した際、

  • いつまで貸すのか
  • 将来その家に住むのか
について整理しておくことが必要だ。
例えば、将来住む予定がなく、ずっと賃貸物件にするつもりなら、通常の賃貸借契約=「普通借家契約」で契約すればよいし、いずれ自分が戻る予定があるなら、契約期間が決まっている賃貸借契約=「定期借家契約」で契約すると、後々面倒なことにならない。

「定期借家契約」のメリットと注意点

通常の賃貸契約である「普通借家契約」では、入居者(借主)が希望すれば、貸主に正当な理由がない限り、更新しなくてはならない。期間限定の転勤や海外勤務で、いずれ持ち家に戻る時期が決まっている場合は、「定期借家契約」を結ぶとよいだろう。
普通借家契約と定期借家契約の主な違いは下図の通り。

■「普通借家契約」と「定期借家契約」の違い

  普通借家契約 定期借家契約
契約期間
  • 契約期間は1年以上で設定(通常は2年間とすることが多い)なお、契約期間を1年未満とした場合は、期間の定めのない(更新のない)契約になるので要注意。
  • 契約期間は貸主が自由に決められる。契約期間が終了した時点で確実に明け渡しを受けることができる。
更新の有無
  • 正当な理由がない限り更新される。
  • 満期満了で契約終了。更新はされない。
  • 貸主と入居者(借主)が合意すれば、再契約は可能。
入居者からの中途解約
  • 中途解約についての特約を定めることができる。解約の予告期間や、直ちに解約する場合に支払う金額について定めることが多い。
  • 契約期間中、入居者に転勤、療養、親族の介護などやむを得ない事情が発生し、住み続けることが困難になった場合、入居者は契約を解約できる(延床面積200㎡未満の家限定)。解約申入日から1カ月経れば契約終了。
  • 中途解約について事前に特約を結ぶことも可能。
貸主からの解約
  • 借主が引き続き住むことを希望している場合、貸主からの解約や契約更新の拒絶は、貸主に正当な理由(どうしてもそこに住まなければならないなど)がない限り、不可能。
  • 契約期間中は解約できない。
注意点
  • 特約にかかわらず、貸主・入居者は、家賃の増額もしくは減額を請求できる
  • 更新できない制約があるため、普通借家契約物件に比べて家賃を低めに設定しないと入居者が決まりにくい場合がある。
  • 貸主は入居者に対して、契約の更新はなく、期間満了で契約が終了することを、契約書とは別にあらかじめ書面を渡して説明する必要がある。
  • 契約期間が1年以上の場合、貸主は契約満了の1年前から6カ月前までに、入居者に契約の終了を通知する必要がある。

特に注意すべき点は家賃の設定だ。一般的に賃貸住宅を探している人は、契約を更新してその後も住みたい・住み続ける可能性をもちたいと考えるので、契約期間が限定された定期借家契約を避ける人は多いと考えられる。そのため、家賃を普通借家契約に比べて安くしなければ入居者が決まりにくいという面がある。だが、たとえ家賃収入が相場より安いとしても、決まった時期に持ち家に戻れる安心感はお金には代え難い面もある。

また、2~3年という比較的短期間で持ち家に戻るので、見知らぬ他人に家を貸すのをためらう人もいるだろう。身内や友人・知人に貸すなら安心と考えて、そうしている人も少なくはないようだ。その場合、身内だからと賃貸借の契約についておろそかにせず、きちんと定期借家契約で契約書を取り交わしておきたい。

「リロケーションサービス」を利用する

転勤や海外勤務で持ち家から遠く離れて暮らす場合、問題となるのが入居者募集や契約手続き、入居者管理・建物管理など、「大家さん業」をどうするかということ。
そうした場合は、仲介と管理を一括で委託する「リロケーションサービス」のある不動産会社を選ぶとよい。委託費用は仲介手数料などのほかに管理費として家賃の5%~10%程度や定額制(管理内容や会社によって異なる)といった場合が多い。
リロケーション専業会社や大手不動産会社、中堅不動産会社まで、サービスを展開している会社はさまざまだ。家賃保証や明け渡し保証、メンテナンス無料などの付加サービスを提供している会社も。なかには、海外引越し・予防接種サポート・健康診断手配・トランクルーム手配・郵便物転送・不用品の買い取りサービスなどまで提供している会社も登場している。

リクルート「賃貸オーナーに関するアンケート」調査概要
※アンケート対象者:
  • (1)居住用に購入した自己所有の家を賃貸に出している人
  • (2)土地活用のためアパートマンションを建てて賃貸経営をしている人
  • (3)投資用にマンションを購入して賃貸経営をしている人
  • ※回答数:412人
  • ※実施期間:2012年5月19日~21日
  • 実施エリア:東京、神奈川、千葉、埼玉
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文/金井直子 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー

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