仲介会社を複数社に絞り込んだら、次に物件の家賃査定を依頼する。その査定結果や査定時などの対応を見ることで会社の信頼度が分かってくる。そうした上で委託先を決めよう
依頼先候補の会社を複数社に絞り込んだら、それらの会社に「家賃査定」を依頼して、比較してみよう。ちなみに複数社に査定をしてもらうのは、査定額を細かく比較することで適正額をつかみやすくするため。1社だけに任せると、査定額が適正額なのか見極められないことも。家賃査定には次の2種類がある。
周辺の取引事例データから算出する。「机上査定」とも呼ばれる
実際に物件の状態を細かく確認した上で行われる。「詳細査定」とも呼ばれる
査定依頼時には物件を購入した際の建築関係書類や重要事項説明書(「入居者審査を経て賃貸契約を結ぶ 」を参照)などの必要書類を用意しておきたい。必要な資料や情報が手元にない場合は、不動産会社が調査してくれることもある。
なお、賃貸と並行して売却も検討している場合は、賃貸と売却の両方に強い不動産会社に、家賃査定と同時に売却査定も依頼すれば手間が省ける。
不動産会社から査定額が提示されたら、根拠をしっかり確認すること。会社によって査定の根拠は異なることも。査定額の裏付けを確認して、その内容が合理的で納得できるものなのか説明をしてもらう。査定額が高いからよい会社というわけではない。相場に比べて高い家賃設定では入居者が決まらないことも考えられるからだ。査定結果や査定時などの対応を見て、安心して任せられる会社か吟味しよう。
仲介を正式に依頼する前に、不動産会社に下記のことを伝えたり、活動内容の確認をしておくなど、方針を明確にしておくことが大切だ。
賃貸の開始時期、希望家賃、リフォーム予定の有無、希望する募集方法などを伝えて、募集条件をどうするかきちんと話し合っておく
仲介の方法には、一般的な仲介である「媒介」と、入居者の決定・契約も含めて仲介業務を委託する「代理」がある。転勤や海外勤務などの場合は「代理」でなど、状況に応じて委託方法を考えよう
不動産会社が行う仲介業務は具体的に何をするのか、直接確認する。やってもらえると思っていたのに業務内容に入っていなかったということのないようにしたい
仲介手数料は、賃貸借契約が成立した際に発生する。法規制によって上限が決まっており、貸主と入居者(借主)でそれぞれ「家賃の0.5カ月分以下」を不動産会社に支払うと定められている。ただし、貸主と入居者の承諾がある場合は、いずれか一方から「家賃の1カ月分以下」を不動産会社は受け取ることができる(いずれも別途消費税)。
通常の仲介業務で発生する費用(募集広告費など)は仲介手数料に含まれるため、別で支払う必要はない。ただし例外的に、特別な依頼で発生した広告費用などの実費は、不動産会社から貸主への請求が認められている
■仲介会社を選んだ際のポイント(複数回答)
査定結果や会社の体制、活動内容などを見極めて、安心して任せられる不動産会社を選んだら、正式に仲介を依頼しよう。ちなみに、法律上は仲介のことを「媒介」と呼ぶため、契約書は「媒介契約」となる。依頼時の注意点は下記の通り。
賃貸の場合、媒介契約書の締結は任意となる。トラブルを回避するために、契約書を結ぶほうがよいので、もし不動産会社からの提示がなければ、貸主から確認してみよう
仲介の委託は1社だけに限らず、複数社に依頼できる。それぞれの特徴は下図の通り。気になる不動産会社の特徴や強みを把握して、どんな方法で仲介を依頼するのか決めよう
■仲介の委託社数による特徴
1社のみに委託 | 複数社に委託 | |
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メリット |
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デメリット |
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文/金井直子 監修/中村喜久夫(株)不動産アカデミー