土地収用法

土地収用法(トチシュウヨウホウ)の意味・解説

土地収用法とは、公共の利益となる事業に必要な土地などの収用または使用に関する法律。土地収用等を行うための要件や手続、効果に関する規定のほか、土地収用等によって損失が出た場合の補償についても定められている。これによって公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、国土(土地)の適正かつ合理的な利用を目的としている。
土地収用法には「土地を収用または使用できる事業」として、49種類の事業が定められている。

【土地収用法に定められた事業の例】
・道路法による道路や駐車場法による路外駐車場
・河川法による河川、堤防、護岸、ダム、水路、貯水池など
・国、地方公共団体等が設置する農業用道路、用水路、海岸堤防など
・独立行政法人鉄道建設等が設置する鉄道又は軌道の用に供する施設
・航空法による飛行場、航空保安施設などで公共の用に供するもの
・電気事業法による一般送配電事業等の用に供する電気工作物
・ガス事業法によるガス工作物
・水道法による水道、工業用水道事業、又は下水道法による公共下水道など
・学校教育法に規定する学校など
・社会教育法による公民館、博物館や図書館法による図書館
・国、地方公共団体、地方住宅供給公社が行う50戸以上の分譲又は賃貸住宅団地
・国、地方公共団体が設置する庁舎、公園、広場、墓地など

土地収用の主な手続きは、国土交通大臣または都道府県知事による「事業認定」と、収用委員会による「収用の裁決」の二段階となる。
事業認定は、土地収用の目的となる事業が「土地収用法に定められた事業に関するもの」であると認められるための手続きで、「起業者に事業を遂行する十分な意思と能力があるか」「土地を収用・使用する公益上の必要があるかどうか」などが審査される。
収用の裁決は、実際に土地収用等を進めるための手続き。都道府県に置かれる「収用委員会」が、起業者、土地所有者、関係人の意見聴取や調査を行い「収用等を行う土地の区域」や「土地や建物の権利などに対する損失補償額」などを決定する(裁決)。その後、裁決に沿って土地の所有権移転や保証金の支払いが行われ、収用手続きは完了となる。

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