無権代理

無権代理(ムケンダイリ)の意味・解説

無権代理とは、代理権をもたない者(無権代理人)が、代理人と称して法律行為をすることをいう。民法では「無権代理による契約は、本人が追認しなければ、本人にその効力を生じない(第113条)」と定めている。さらに、無権代理による行為が本人に対する関係で無効と判断された場合、無権代理人自身が取引を履行するか、相手方に損害賠償をしなければならないとしている(第117条)。

なお、無権代理行為があった場合、「本人」および「相手方」は主に以下の権利をもつ。

【本人】
・追認権:相手方でも無権代理人でもどちらに意思表示をしてもよく、追認すると契約時にさかのぼって契約が有効となる
・追認拒絶権:相手方から追認を求められても拒否できる

【相手方】
・催告権:善意・悪意(代理人が偽称だと認知していた等)を問わず、本人に追認するかどうかを催告できる
・取消権:相手方が善意の場合のみ、契約自体を取消すことができる
・無権代理人への責任追及:相手方が善意無過失の場合のみ、無権代理人に対して、損害賠償請求または履行請求できる(相手方が選択)。ただし、無権代理人が制限行為能力者の場合は責任追及できない。
・表見代理を主張:例えば、一時代理人だった人が代理権が消滅した後に行った契約など、相手方が代理だと誤解するような状況の場合(表見代理)、相手方が善意無過失の場合など一定の要件に合う場合に、本人に履行を請求できる。

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