敷金、特約について解説! 賃貸の申し込み・契約の重要ポイント

公開日 2009年08月19日
敷金、特約について解説! 賃貸の申し込み・契約の重要ポイント

転居する際にありがちなのが、「敷金、これしか戻らないの?」というトラブル。原因は「契約時」の確認モレが多いらしい。
ここに住もう!と決めてからは、申し込み→審査→契約→入居、と手続きが行われるが、ここでは、その際の重要チェックポイントを詳しく解説。トラブルを防ぐためにも、きっちり学んでおこう!

申し込み・契約のショートマンガ

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必要な情報や書類を事前に確認しておくとスムーズ

必要な情報や書類を事前に確認しておくとスムーズ

住みたい部屋が決まったら、できるだけ間をおかずに不動産会社に借りる意思を伝え、申込書に必要事項を記入しよう。必要な情報、書類等は会社や物件によって異なるが、下のような項目について整理しておくと安心だ。
また、入居者だけでなく、連帯保証人についても細かい情報を求められるケースがある。できれば事前に必要な情報を担当者に確認し、保証人のお願いをするときに教えてもらっておくといい。保証人が見つからない場合は、保証人代行システムを利用できる会社や物件もある。必ず探し始めるときに担当者に相談し、システムを導入しているか確認しよう。
なお、家賃の値下げや家賃発生日をいつに設定するかなど、契約にあたって交渉したいことがある場合も、この時点までに申し入れておこう。

必要な情報や書類を事前に確認しておくとスムーズ

申込金を要求された場合は、必ず「預かり証」をもらおう

申し込みの際、申込金として1万円から家賃1カ月分程度を要求されるケースがある。近年、東京都や業界団体では不動産会社に申込金はもらわないよう指導しているが、要求されたら、どのような目的で使われるのかを必ず確認しておきたい。
申込金は契約時に契約金の一部に充てられるのが一般的。もし申込金を預ける場合は、キャンセルした場合には戻ってくるのかを確認し、預ける期間(審査終了まで、契約時まで、など)、預かる会社名・担当者名などの入った「預かり証」を発行してもらおう。

■申込書の記入項目(例)

●申し込み本人の情報
氏名、年齢、住所、電話番号(日中連絡が取れる番号。携帯電話でも可)、Eメールアドレス、勤続年数、年収など

●申し込み本人の勤務先の情報
社名、住所、電話番号など(必要に応じて事業内容、社員数、設立年月、上場の有無なども)

●他の入居者の情報
氏名、年齢、申し込み本人との続柄、勤務先、もしくは学校名など

●連帯保証人の情報
氏名、年齢、住所、電話番号、勤務先名、勤務先住所、電話番号、申し込み本人との続柄、年収など

入居審査中の時間を生かし、契約に必要なものを用意

入居審査とは、申し込み本人が家賃を払い続けていけるかなどを確認すること。提出した申込書などをもとに、大家さんや審査機関に判断してもらう。
入居審査には2日から1週間ぐらいかかるので、この期間に必要な書類を用意。右に挙げた例のように、役所に出向かなければならない書類などもあるので、事前に確認しておこう。
また、契約時には敷金や礼金などまとまったお金が必要になることも忘れずに。契約が月の途中でも、家賃発生日から日割り計算した家賃と、翌月分の前家賃を支払うことになり、総額は賃料の6カ月分が目安といわれている。
さらに、現在も賃貸住宅住まいなら退去予告を。現在入居中の部屋の契約書で「退去予告は○カ月前までに」との記載を確認。退去予告が遅れると、前の部屋の家賃を支払う期間が長くなるので注意しよう

■契約に必要なもの(例)

●収入を証明するもの
(源泉徴収票または納税証明書)
※申し込みの時点で必要な場合も

●印鑑と印鑑証明

●入居者全員の住民票

●敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、損害保険加入が義務づけられた場合はその保険料
※事前に振り込む場合も

●保証人の同意書、印鑑証明
※後日、契約書に署名・捺印し郵送する場合も

重要事項説明書と契約書は、署名・捺印前によく確認

重要事項説明書と契約書は、署名・捺印前によく確認

入居審査に通ったら、いよいよ契約。入居者と不動産会社(大家さんの役目も代行)の二者で行われるケースが一般的で、その際「重要事項説明書」と「契約書」の内容が説明される。
2つの書類をひと言でいうと、「重要事項説明書」は不動産会社が契約の注意点をまとめた書類のことで、「契約書」は大家さんと賃貸借条件を決める書類のこと。下表のチェックポイントを見ても分かるように、どちらも大事なことについて書かれている。これらについての説明を受けて署名・捺印をしたら、「説明内容に納得しました」ということ。後から不利な条件を見つけても「知らなかった」では通用しないので、事前にしっかり確認を。
特に部屋探し初心者などは、説明を受けた直後に署名・捺印を求められても、その場で判断することが難しいことも多い。できれば書類は事前にもらって目を通し、契約日までに疑問点をクリアにしておくと安心だ。

重要事項説明書と契約書は、署名・捺印前によく確認

重要事項説明書や契約書はここでチェック!

●初期費用は?
最初の月の家賃・共益費、敷金・礼金のほか、必要であれば仲介手数料、損害保険 
料など、入居前にかかる費用。物件ごとの条件によっても異なるが家賃6カ月分が目安ともいわれる

●家賃の支払いは?
毎月何日までに、誰あてに(不動産会社、大家さん等)、どのような方法(自動振替、銀行振込、手渡し等)で支払えばいいかを確認。万一、滞納してしまった場合にどうなるかも確認

●禁止事項は?
ペットの飼育、楽器の演奏、石油ストーブの使用、事務所としての使用など、入居にあたって禁止されていることを確認

●付帯設備は?
エアコンやガスコンロは付いているか、電気の容量はいくらあるのか、自転車置き場はあるかなど、部屋や建物の状況を確認

●緊急連絡先は?
設備の故障など何かあった場合の連絡先を確認。部屋を紹介してくれた不動産会社とは別の会社が管理している場合もあれば、大家さんが連絡先となっている場合も

●更新のルールは?
契約を更新する際の更新料について確認。一般的には家賃の1カ月分を支払うことになっているケースが多い

●退去のルールは?
退去の連絡は「解約日の1カ月前まで」とされている場合が多いが、例えば「3カ月前まで」とされている場合、急な転勤で引越しても、退去の連絡から3カ月間は家賃を支払わなければならない

●再契約・中途解約は?
契約期間、再契約の有無、借主からの中途解約について確認。借りる物件が「定期借家権契約」の場合は、基本的には契約期間満了とともに退去することになる(再契約は可能なケースも)

●抵当権の有無は?
大家さんが銀行からお金を借りてアパート経営をしている場合などは抵当権が設定されている。万一、抵当権が実行されて競売になった場合、落札人に対して賃借権を主張できない

●原状回復・特約は?
point3(次頁)で詳しく解説

■賃貸契約の用語解説

●連帯保証人(れんたいほしょうにん)
物件の借主に何かあったときに代わって賃料を支払う責任・能力がある人のこと。賃貸契約では親や親族に頼むことが多い。

●定期借家権(ていきしゃっかけん)
更新のできる賃貸借契約と異なり、期間満了時に契約が終了する賃借権。合意しての再契約は可能。契約期間に上限も下限もなく、原則途中解約は認められない。

●抵当権(ていとうけん)
融資を受けたマンションの所有者等が借金を返済できなくなった場合に備え、融資をする銀行等の金融機関が、いわゆる「借金のかた」として借り手の不動産等にあらかじめ設定する担保権。

普通に暮らしてきて出来た傷や汚れは、大家さんの負担

普通に暮らしてきて出来た傷や汚れは、大家さんの負担

賃貸契約のトラブルで多いのが、退去する際の傷や汚れは入居者と大家さんのどちらの負担かといった原状回復に関すること。しかし、原状回復といっても「部屋を元通りに戻すなんて無理!」と慌てなくて大丈夫。普通に暮らしていて生じる程度の損耗であれば、入居者ではなく大家さんが負担するといった原則がある。
例えば借りた人が故意や過失、不適切な使い方などをして、建物が自然に損耗する以上のダメージを与えてしまった部分に関しては、入居者が負担。それ以外は大家さんが負担すべきということになっている。ただし、入居者にも注意を払って部屋や付帯設備を管理する義務があり、手入れを怠ったことで損害が発生・拡大した場合の修繕費用は、入居者負担になる。 その原則に基づいた例をいくつか下表にまとめたので参考にしてほしい。

普通に暮らしてきて出来た傷や汚れは、大家さんの負担

■原状回復、どんなことがどっちの負担?

大家さんが負担
  • テレビや冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ(電気焼け)
  • 日照等による畳やフローリング、クロスの変色
  • 色落ちや通常の掃除で落ちる程度のタバコのヤニ
  • 画びょうやピンなどクロスの上だけに残った跡
  • 家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡
  • エアコン設置による壁の穴
大家さんが負担
  • 全体のハウスクリーニング
  • 破損していない浴槽・風呂釜などの取り換え
  • 特に破損していない畳の裏返し・表替え
  • 網戸の張り替え
  • フローリングのワックスがけ
  • トイレやキッチンの消毒
借主さんが負担
  • 引越し作業や飼育ペットによる柱や床などの傷
  • タバコなどによる床の焼け焦げ
  • クリーニングで除去できないほどのタバコのヤニ
  • 雨の吹き込みによるフローリングの色落ち
  • 下地材の張り替えが必要なほどのクギ穴・ネジ穴
  • 壁紙の張り替え、許可のないリフォーム
借主さんが負担
  • 結露を放置したために拡大したシミ・カビ
  • カーペットにこぼした飲み物などによるシミ・カビ
  • 冷蔵庫下のサビの跡
  • 通常の掃除で除去できないほどのキッチンの油汚れ
  • 風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
  • エアコンからの水漏れを放置したために腐食した壁

入居者に原則以上の負担を求める「特約」に注意

何がどちらの負担になるかは、上記のような原則だけで判断できるとは限らない。契約書には、上記のような原則にあてはまらない「特約」が記載されていることがあり、たいていは原則以上の負担を入居者側に求める内容になっているケースが多い。右に記したように、「負担してもいい」と意思表示している場合に成立するものなので、署名・捺印する前に、内容をしっかり説明してもらおう。
特約としてよくあるのは、クリーニング代、畳表替え・カーペットの張り替え費用などを入居者負担とするもの。特約の内容を見て負担が重すぎると感じた場合、条件の変更を申し出てみよう。変わらなくても、部屋が気に入っていれば負担を覚悟で借りるしかないが、納得できない場合、退去時にもめるより契約しないという選択も。だから署名・捺印前の確認が大事なのだ。

■特約が成立する要件

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、特約が成立する3つの要件を以下のように規定している。

(1)特約の必要があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること

(2)賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること

(3)賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

汚れや傷、故障などが入居前のものなら必ず記録

汚れや傷、故障などが入居前のものなら必ず記録

原状回復の基準となるのが、入居時の部屋の状態。つまり、いつか退去するときに、入居時と退去時の状況を比較できるような記録を残しておかなければならない。
最近では不動産会社が独自にチェックリストを用意し、入居者が入居時の室内の状況を書き込んで不動産会社に郵送してもらうようにしているところも多い。そのような特定の用紙がない場合も、下のリストを参考にして自分でチェックを。気になった箇所があれば間取図にメモし、汚れや傷の部分を日付入りで写真に撮って不動産会社にすぐ連絡をしよう。写真は契約書と一緒に保管し、できれば不動産会社にも同じものを渡しておくといい。
忘れがちな設備のチェックも入念に。例えばエアコンを使わない時期に入居し、入居後しばらくたってから不備が分かった場合などは、故障の責任が誰にあるのかが分かりにくく、トラブルになりやすい。こうした事態を避けるには、どんなに忙しくても入居時のチェックはしっかりとやっておこう。

汚れや傷、故障などが入居前のものなら必ず記録

入居時はここをチェック!

■居室

●壁
クロスのはがれ、汚れ、クギの穴などはないか

●床
畳、フローリング、カーペットに汚れ、傷、焼け焦げなどはないか

●天井
クロスのはがれ、シミや汚れなどはないか

●窓
ガラスにひび割れや傷はないか、スムーズに開け閉めできるか、鍵はきちんとかかるか

●網戸・雨戸
傷や破れはないか、スムーズに開け閉めできるか

●カーテンレール
フックが割れていないか、数が少ないなどの不備はないか

●エアコン
冷暖房ともにきちんと稼働しているか

●照明
照明器具が付くべき箇所に付いているか、きちんと点灯するか

●コンセント・スイッチ
正常に使えるか、プレートは割れていないか

●収納
内部にカビが生えていたり、においがしたりしないか

●建具
ドアや引き戸や収納扉はスムーズに開け閉めできるか

■キッチン

●本体周辺
床・壁・天井、換気扇やシンクなどに目立った汚れはないか

●設備
換気扇、給湯器、ガスコンロなど設備類の作動に問題はないか

●給・排水管
詰まっていたり、流れにくかったりしないか

●シンク下
カビが生えていたり、汚れなどはないか

■バス・サニタリー

●浴室
床・壁・天井にカビが生えていないか、水が詰まっていたり、流れにくかったりしないか、目立った汚れはないか

●トイレ
フタにひびが入っていたり割れていたりしないか、水が詰まっていたり、流れにくかったりしないか、目立った汚れはないか

●洗面台
ボウルや鏡にひびが入ったり、割れていたりしないか、水が詰まっていたり、流れにくかったりしないか、目立った汚れはないか

■その他

●浴室
スムーズに開け閉めできるか、鍵はきちんとかかるか

●下駄箱
内部にカビが生えていたり、においがしたりしないか

●インターホン
インターホン、チャイムなどは正しく作動するか

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