単にひとつの建物を建てたり、公園を1カ所つくったりするのではなく、街を広い範囲でプランニングして再生させる事業を”再開発”・”複合開発”と呼ぶ。
商業ビルやオフィスビル、病院、緑の広場などを計画的につくり、道路を整備し、エリア内に低層・高層の住宅を建てる……。これまで活気に乏しかった街が、再開発事業で一気に便利で整然とした新しい街に変身し、人々のにぎわいが生まれる。主に主要鉄道の駅周辺が再開発エリアになることが多く、その場合は交通アクセスの良さも加わるので、いっそう便利な街となる。
【写真】再開発で一新したJR大阪駅周辺エリア。関西の玄関口にふさわしい超高層ビルが林立する。徒歩圏にはマンションも次々と誕生し、「大阪駅へ歩いて行ける」便利さを享受できる。
※「再開発・複合開発」は都市計画で市街地再開発事業として許可されたプロジェクトを指すケースが多いが、土地区画整理事業や住宅街区整備事業など各種の事業も総称して呼ぶことが多い。
再開発・複合開発エリアに住むメリットはいろいろあるが、何と言っても魅力は利便性の高さだろう。住宅のすぐ近くに大型商業施設があり、スーパーや専門店だけでなく百貨店まで入っている例もある。日常の生活用品はもちろんのこと、百貨店へも歩いて行けるので、買い物がとても便利で楽しい。
しかも街ごと開発されているため、病院やシネマ、スポーツクラブ、図書館、コンサート会場などさまざまな施設がエリア内にそろっている。具合が悪くなったらすぐに病院に行けるし、電車に乗らなくても気軽に音楽や舞台が楽しめる。また、建設されるマンションのほとんどは数百戸レベルの大規模物件。そのため、ゲストルームやキッズルーム、ラウンジなどの共用施設が充実しているケースも多い。大規模マンションならではのスケールメリットで、今以上に便利な暮らしが実現可能だ。
【写真】百貨店や病院のほか、多彩なショップやレストランなどがそろう千里中央駅前
新しい街ならではの住環境が整備されていることも見逃せないメリット。ベビーカーや車いすでも通行しやすいよう幅の広い歩道が整備されたり、街路樹などの豊かな植栽が施される。子どもが遊べる公園も計画的に配置されている。緑豊かな街並みに、危険の少ない歩きやすい歩道……と安全で心地よい環境が整っているのがうれしい。子育て世代から中高年世代まで、あらゆる年齢層にとって快適な街に住む幸福感を味わえそうだ。
また、駅前再開発の場合、マンションが駅や商業施設とデッキでつながれている設計も少なくない。雨に濡れずに通勤・通学や買い物ができる快適さも魅力だ。再開発・複合開発エリアに一度住むと「もうほかでは住めない」という人が多いのも、そんなさまざまなメリットがあるからだ。
【写真】難波の再開発で誕生した大型商業施設「なんばパークス」には緑豊かな公園が計画的に整備されており、人々の憩いの場としての機能も果たしている。
大阪市南部のターミナルである「天王寺」駅から「阿倍野」駅にかけての再開発。すでに多くの商業ビルが建ち並び、整備された美しい街並みが広がっている。「阿倍野」駅前には多くの専門店が入る「あべのキューズタウン」が2011年に誕生した。「天王寺」駅前には超高層複合ビル「あべのハルカス」が2014年完成予定だ。ショッピング施設がそろい、楽しさ満載のエリアで、今、注目度大!
JR大阪駅の再開発エリア「大阪ステーションシティ」が2011年に開業した。駅北側の「ノースゲートビルディング」には大阪三越伊勢丹、南側の「サウスゲートビルディング」には大丸梅田店が入る。どちらのビルも駅に繋がり、シネマコンプレックスやホテル、レストランなどが入っている。オフィスと百貨店が入る「梅田阪急ビル」もあり、大都心に住む利便性を存分に楽しめるエリアだ。
再開発によって大きく街の表情を変えたJR尼崎駅北エリア。大型商業施設「COCOE」には阪神百貨店やスーパーが入り、ファッション、グルメから映画まで楽しめる。医療施設や公園、教育施設などもそろって生活環境は抜群。週末のショッピングも電車を使わずに身近で楽しめる。
再開発によって大型商業施設「阪急西宮ガーデンズ」ができてから、ぐっと便利になった「西宮北口」駅界隈。阪急百貨店、スーパー・イズミヤのほか、お洒落な専門店も多数そろっている上、シネマもあるので、近隣の人たちにとってなくてはならない存在に。駅前には「コープ」などが入る「アクタ西宮」もある。クラシックを楽しめる「兵庫県立芸術文化センター」もすぐそばで、豊かな暮らしが実現できるエリアだ。