住宅の購入額は希望条件が多いほど高くなるもの。条件を「譲れるもの」と「譲れないもの」に分け、譲れるものを省けば、購入額の壁を低くし、乗り越えやすくできる。
総支払い額は住宅ローンの利子や諸費用がいくらプラスされるかで決まる。利子や諸費用という名の着膨れ部分をできるだけ取り払い、総支払い額を減らそう。
購入額をダウンさせるには、相場よりも安い物件を見つけることにつきる。
安いにはそれなりの理由があるが、理由次第では、自分にとって掘り出し物であることも。
物件のメリット・デメリットを見極め、自分にとっての掘り出し物件を見つけよう。
未入居物件とは新築して1年以上経っている物件のこと。「ローン審査が通らず、キャンセルになってしまった物件も少なくない。まだ、だれも入居していない新しい家だが、新築と比べて割安になることもあるのじゃ」(小菊仙人)。どういう理由で残っているのかを確認して、おトクかどうかをしっかり判断しよう。
築年数は1年以上経っていても、未入居だから他人が使っていない。新築同様のきれいな家を安く買える
建物の管理が悪いと、換気ができていないなどの理由で傷みがあることも。見学の際にしっかりチェックを
旗にさおを付けたような形の「旗ざお地」などの変形土地は相場よりも安め。さおの部分を駐車スペースなどに有効利用できるならおトクだ。「地形を生かして家を建てれば、住みやすくなる。設計を依頼する建築士が決まっているなら、一緒に現地見学してもらうとどんな建物が建てられるかハッキリするのじゃ」(小菊仙人)
旗ざお地は、家が建つ部分が奥まっているのでプライバシーが守られやすい。
地形をうまく生かせなければ、必ずしも安いとはいえない。旗ざお地は、開放感が望みにくい面も
古家付き土地とは、築年数が古いなど中古住宅としては売れない家が建っている土地のこと。新たに家を建てる場合は古い建物の解体費用がかかるため、更地より安い場合もある。「築年数が古くても、少し手を加えればまだまだ住める物件もある。そうした物件を買ってリフォームすれば、かなりおトクなのじゃ」(小菊仙人)
土地代のみの価格と同じくらいで、住める家が付いてくる可能性が。安いから余裕ができ、改修もしやすい
建て替えるときには古家の解体費用が100万円単位でかかる。そのまま住む場合も耐震性のチェックが必要
傾斜地は土地が広くても家を建てられる部分の面積が制限されるので、フラットな土地に比べて価格が安い。「傾斜を利用すれば設計次第では開放的で個性的な家が建つのじゃ」(小菊仙人)。ただし地盤調査をしたり、擁壁の設置や基礎の補強などで数百万円の出費が必要なことも。それらを理解しておけば、魅力的な物件だ。
南傾斜など日当たりが確保できる方角の土地なら、明るく開放的な家を建てることができる
地盤調査の結果、地盤改良や基礎の補強、擁壁の設置などが必要となり予想以上にコストがかかることも
バス便の物件は駅近物件よりも安いのが一般的。「駐車場の充足率が高い物件が多いので、マイカー通勤も可能。駅から歩かなければならない駅徒歩物件よりずっと便利に感じるという人もいるくらいじゃ」(小菊仙人)。雨の日にあまり濡れないし、バスは冷暖房が効いていて快適だ。
複数のバス路線が走っているバス停なら、その日の行き先や時間帯によって路線を選べるのもうれしい
雨の日や渋滞の発生で時間通りにバスが来ないことも。電車と比べて最終便が早いことも多いので確認を
墓地の近くは敬遠されがちなので相場より安くなる場合が多い。学校の近くもチャイムの音や楽器、歓声などでにぎやかな印象が強く、安めになる場合が。同様に線路や幹線道路沿いの物件も割安感あり。「気にならない人ならおトク。二重サッシなど防音対策がしてある物件なら意外と静かなことも多いのじゃ」(小菊仙人)
墓地には高い建物が建たないので、採光が約束される。学校が近いと子どもの通学が安心という長所も
家と学校が近いと学校帰りの子どもが集まり、子ども部屋がたまり場になりやすいなど。
家の向きは日当たりに関わるので、価格にも影響する。人気は東南角地で、南→東→西→北の順で安くなるのが一般的。「東南角地でも窓が多くて家具が置きにくかったり、夏暑い場合も。北向き物件でも昼間留守にしがちな家庭にはおトク。また、天窓を付けるなど日当たり対策をしている物件も多いのじゃ」(小菊仙人)
北向きでも周囲の建物の状態や間取りの工夫によっては明るいことも。畳や家具の日焼けの心配も少ない
南向きに比べて採光面はやはり不利。特に日照時間の短い秋から冬にかけては洗濯物が乾きにくいことも
駐車場やエレベーター、ゴミ置き場の近くの物件は人の行き来が多く、音が響くことも。そのため、ほかの物件より価格を低めにしていることが多いが、共用施設が近いと毎日の生活には便利な面も。「他の物件と比べて価格が低いなら、その理由を聞いてみること。自分にとって気にならなければおトクじゃ」(小菊仙人)
車からの荷物の出し入れやゴミ出しなどが便利。人の行き来があるので、逆に防犯対策になる面も
駐車場やエレベーターの音が響いたり、プライバシーが守られにくかったり、ゴミのニオイが気になることも
ローンや諸費用は力量次第で、減額という直接的な成果になって表れる部分だ。
ダウンの秘技を習得して実行できれば、簡単に100万円~200万円減額も夢ではない!
ここでは、返済額ダウンを可能にする一子相伝のワザを4つ紹介する。
家を買うときに支払うのは購入額だけではない。購入額を減額できたからといって気を抜いては、ローン選びなどでさらにおトクに家を手に入れられるのに、その機会をみすみす逃しているようなもの。ここでは、諸費用や住宅ローンの利子なども含めた総支払い額を減額するワザを紹介。まずは総支払い額の内訳を説明するので一緒に特訓だ。総支払い額減額の決め手は利子部分にあるので、この部分をいかに減らすかを特に勉強していこう。
実は多くのローンが1年刻みで短く組むことが可能。返済期間が短いほど、支払う利子が少なくなって総支払額をダウンできるのじゃ」(小菊仙人)。返済期間を1年短くするだけで、月々の負担額はそれほど大きく増えないのに、総支払額には大きな違いが出る。試算が苦手な人は、いくらくらいまでなら無理なく返済期間を短くできるか、無料で試算してもらえるので金融機関や不動産会社に相談してみよう。
頭金は物件価格の一部として、契約のときや引き渡しの際に現金で支払うお金。最近では頭金がなくても物件価格の100%まで借入可能な住宅ローンもあるが、借入額が増えるとその分、利子も増えて総支払い額が多くなってしまう。「可能な限り、頭金を増やすのが総支払い額ダウンの第2のワザ。目安としては物件価格の最低でも2割以上の頭金を用意したいものじゃ」(小菊仙人)。3000万円の物件なら600万円を頭金にできればベストだ
住宅ローンにはいろいろな金利タイプがある。一般的に変動型や固定期間が短いタイプは金利が低く、固定期間の長いタイプは金利が高め。目先の金利の低さだけで選ぶと、あとで金利が上がって支払いが苦しくなることも。「全期間固定型なら金利が変わらず安心。でも近く収入増が見込め、金利変動にも対応が可能なら、低金利の短期固定型などを選んで当面の支払い額を軽くする方法も。先のことも考えて金利を選ぶことが肝心じゃ」(小菊仙人)
住宅ローンを借りるときのローン保証料や融資手数料などは金融機関によって異なり、数十万円の差が出るケースも。繰り上げ返済手数料もまちまちなので、費用の安い金融機関を選べばトクだ。
不動産会社の提携ローンや、金融機関のキャンペーンを利用すれば、金利優遇を受けることができる。なるべく有利な金利優遇が受けられるローンを選びたいところだ。この金利優遇のタイプは大きく分けて2つある。全期間同じ幅の優遇が受けられるタイプと、当初の固定期間などだけ優遇幅が大きいタイプだ。「当初の優遇幅だけで選ぶとあとで負担が増えることもあるから、長い目で見てどの金利優遇がトクかを比べてみることじゃ」(小菊仙人)
ローン返済は金利が変わらなければ毎月返済額も変わらない元利均等返済が多いが、徐々に返済額が減る元金均等返済を選べる場合もある。当初の返済額は多めだが、トータルの支払い額を減らせるのだ。