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賃貸カスタマイズ&DIY もっと自分らしい賃貸ライフを楽しもう!

入居者プロフィール
  • ●名前:Harucaさん(30代)
  • ●職業:ぺインター
物件データ
  • ●所在地:東京都八王子市
  • ●築年数:築50年
  • ●アクセス:JR中央線八王子駅から徒歩10分
  • ●面積:56.8m2
  • ●間取り:1K+サンルーム
  • ●家賃:5万円
  • ●入居時期:入居時期:2011年6月
間取り
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作家ならではの感性が光る空間
八王子を拠点に活動するアーティストHarucaさんのアトリエ「カモミール」。築50年の民家を借り、3カ月かけて自らDIYした空間は明るく開放的で、長い歳月を経た傷みや重々しさをまるで感じさせない。
20畳ほどのスペースの中でひと際目を引くのは、壁いっぱいに飾られたHarucaさんの作品たち。童話のような世界を鮮やかに描き出すアクリル画を中心に、フェルトで作った人形、お気に入りの小物類を配置。小さな棚やピクチャーレールを上手く活用した「ミニギャラリー」は、壁がシンプルなだけに作品の魅力が際立っている。
また、ワークスペースの前には、もともとあった柱に本物の枝を組み合わせて作ったというシンボルツリーが。インテリアとしての存在感だけでなく、作業空間をゆるやかに隔てる役割も担う。各所に遊びゴコロがちりばめられた空間は、それ自体がひとつの作品のようだ。
柱を使ったシンボルツリー。枝の上ではカラスやフクロウが羽根を休めている
柱を使ったシンボルツリー。枝の上ではカラスやフクロウが羽根を休めている
天井を突き通すヒビ割れを手描きで表現。細部まで芸が細かい
天井を突き通すヒビ割れを手描きで表現。細部まで芸が細かい
幸運な出会いが叶えた念願のアトリエ
デザインの仕事をしていた母親の影響で、小さい頃からものづくり、特に絵画に親しんできたというHarucaさん。そのまま自然な流れで絵の道に進み、創作活動を続けていたが、作品が増えるにつれワークスペースが手狭に。そこで、自分のアトリエを持ちたいと考えるようになった。
「この場所は知人のデザイナーさんから教えてもらいました。実際にオーナーさんに会って話を聞くと、アトリエとして使う前提で自由に改装できるということだったので、とても魅力的に感じましたね。家賃もかなり良心的で、ここなら借りられるかなと。じつは、オーナーさんは八王子をアートの力で活性化したいというご意向を持っていて、ここ以外にも空き家になった家屋を購入して、若いアーティストさんに安く貸す取り組みをされている方だったんです。出会えて本当に幸運でしたね」(Harucaさん、以下同)
家賃はなんと、広さ約60m2の一戸建て物件としては破格の5万円。八王子駅から徒歩圏で同規模の物件を借りるとなると9万円程度は必至なだけに、かなりの好条件だ。その代わり、外壁や内装の修繕などは自らの手で行う必要があったが、自身で理想のアトリエを作りたいHarucaさんには願ってもない話だった。
背景にある物語を想像させる、Harucaさんのアクリル画。手製のシンボルツリーは、ここに描かれている樹木を再現したものだという
背景にある物語を想像させる、Harucaさんのアクリル画。手製のシンボルツリーは、ここに描かれている樹木を再現したものだという
Harucaさんのワークスペース。イラストなどはここで、大きな作品を描く際は広い作業台に移動する
Harucaさんのワークスペース。イラストなどはここで、大きな作品を描く際は広い作業台に移動する
外観から内装まで全て自身の手で刷新
かくして、2011年6月に契約が成立。入居前に外部の舗装や床板の張り替え、水回りの移動はオーナー側の費用負担で改修してくれたものの、それ以外はほぼ手つかず。室内の壁や天井のほか、建物の外壁の塗装まで華奢なHarucaさんがほぼ1人で行った。引き渡し時には壁に穴が開いていたため、まずは板を張るなどしてベースを作り、その上からペイントしていったという。半世紀前の建物だけあって、なかなか骨の折れる作業だったようだ。
「『好きにしてください』と言っていただいたのはありがたかったんですけど、なんせDIYは初めての経験。最初は道具選びひとつにしても四苦八苦していましたね。ただ、幸いなことに母が職業柄、素材や道具にも詳しかったので、いろいろアドバイスしてもらいました。壁の穴を埋めるために水で溶かす和紙のような素材を使っているんですけど、それも母に教えてもらったものです。基本的に安い材料を使っているので、費用は総額10万円くらいで収まりました」
6月から週に3~4日、一日4~5時間の改修作業。仕事の合間をぬって3カ月間、ひたすらDIYに没頭した。
「特に苦労したのは天井。少し塗っては脚立を移動し、顔中ペンキだらけになりながら頑張りました(笑)。大変でしたけど、作っている間は毎日楽しかったです。茶色い壁を塗っていくうちに、みるみる明るい部屋に変わっていく。壁ひとつでこんなに雰囲気が変わるのかと驚きました。最後に絵を飾ったら、自分の空間ができあがった実感が沸きましたね」
改修前の様子。各所に築50年の傷みがみられ、やや暗い雰囲気だった
改修前の様子。各所に築50年の傷みがみられ、やや暗い雰囲気だった
3カ月間は仕事をセーブしつつ作業に没頭。母親の力を借りつつ頑張ったという
3カ月間は仕事をセーブしつつ作業に没頭。母親の力を借りつつ頑張ったという
アーティスト×空き家カスタマイズ賃貸の新たな可能性
Harucaさんに限らず、自分のアトリエを持ちたいアーティストは少なくないだろう。ただ、大きな作品を作る、あるいはギャラリー的に利用するとなると、それなりのスペースが必要で、若手にはコスト面のハードルが高い。安く借りられるなら、多少古くても需要はあるはずだ。
「私自身、最初に錆びたトタンの外壁を見たときは正直どうしようかと思いましたが、色を塗るだけで相当変わる。空き家には無限の可能性があると思います。最近は八王子にも空き家が増えていますが、それってアーティストにとっては宝の山。こういう物件が一般的になって、多くの人が移り住んできてくれるとうれしいですね」
一方、オーナー視点でも、作家自身に改装を委ねることで工事代を削減できるメリットがある。それどころか、ありきたりなリフォーム以上の付加価値を生み出してくれる可能性も高い。双方にとってメリットの大きい、アーティストによるDIYリノベ。賃貸カスタマイズの新たな可能性を拓く、注目すべき事例かもしれない。
改装前。周囲を覆うトタンには錆が浮き、歳月を感じさせる
改装前。周囲を覆うトタンには錆が浮き、歳月を感じさせる
今では見違えるように鮮やかな外観に。気分によって、塗り替えることもある。入居時にHarucaさんが植えたシンボルツリーも今ではこんなに大きく!
今では見違えるように鮮やかな外観に。気分によって、塗り替えることもある。入居時にHarucaさんが植えたシンボルツリーも今ではこんなに大きく!
取材・文/榎並紀行(やじろべえ) 撮影/飯田照明
取材協力/DIY不動産(株式会社エスエストラスト)
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