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賃貸カスタマイズ&DIY もっと自分らしい賃貸ライフを楽しもう!

入居者プロフィール
  • ●名前:Yさん(30代)
  • ●職業:会社員
物件データ
  • ●所在地:神奈川県横浜市
  • ●築年数:築45年
  • ●アクセス:相鉄線「天王町」駅から徒歩5分
  • ●間取り:1K/58m2(DIY前は2DK)
  • ●家賃:5万8000円(管理費込み)
  • ●入居時期:2011年4月
間取り
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賃貸物件への不満がDIYリノベの原動力になった
新卒1年目のころ、「かっこいい物件に住みたい」と新築の賃貸マンションで初めてのひとり暮らしをスタートさせたYさん。
仕事もある程度落ち着いてきた社会人4年目、ふと自分のライフスタイルを見つめ直したときに、当時の住まいに疑問を感じるように。
「帰って寝るだけになってしまっていた当時の住まいに、愛着が持てないと気付いたことがきっかけで、せっかく住むなら自分のこだわりをもっと反映した家にしたいと思い始めました。そんなときに、入居当初の状態を維持しなければならないという賃貸物件ならではの『原状回復義務』があることがネックで、住んでいる場所を自由に使えないことに疑問を感じ、正直不満でした。当時住んでいたところは20m2で家賃が8万円くらいだったのですが、いじることもままならず、部屋の狭さにも不満を感じていて、とにかく広いところに住みたいなと」(Yさん)
その後、引越しを決意したYさんは、「改装可能」「広さは40m2以上」という条件をメインに物件を検索。最初は探し方が分からず不動産会社に直接問い合わせたものの、いい物件に巡り会えず1カ月近くが経過したころ、DIYでの改装可能な賃貸物件を紹介しているサイト「DIYP」に辿り着き、現在の住まいを紹介してもらうことになった。
こちらは内覧時の室内。「改装すると決めていたものの、正直不安しかなかった」と当時を振り返るYさん(平成25年3月から4月)
こちらは内覧時の室内。「改装すると決めていたものの、正直不安しかなかった」と当時を振り返るYさん(平成25年3月から4月)
押入れは「これぞ昭和!」という雰囲気。どのように仕立てあげるか、センスの見せ所(平成25年3月から4月)
押入れは「これぞ昭和!」という雰囲気。どのように仕立てあげるか、センスの見せ所(平成25年3月から4月)
ベッドひとつで新居に乗り込み地道に進めたDIY
これまでDIYの経験が一切なかったというYさんは、簡単な改装イメージの資料を作成。管理会社に確認、許可が出てからはすぐ改装に取り掛かった。
「今振り返ると前の物件への不満をエネルギーに、勢いだけでDIYの改装をスタートさせたと思います。1カ月間フリーレントできたので、その間に集中して改装してしまおうと思ったのですが、面積が広いこともあって壁を壊したり、床と天井をはがすところまでしかできませんでした」(Yさん)
当時の彼女であり、現在の妻の兄が建築事務所を経営していたことから、アドバイスをもらつつ、DIYを進めていったというYさん。天井を高くするといった大がかりな工事も、義兄と協力しつつ行った。
一番予想していなかったのはゴミの量の多さ。通常のゴミ出しでは回収してもらえないほど大量に発生。廃棄処分を業者に依頼しても、自分で廃棄場所に持って行っても、費用が数万円も掛かってしまうということを後から知って驚いたとか。
「廃棄物はまとめて捨てた方が費用と手間が掛からないため、工事中はベランダなどに置いておき、最後にまとめて処分するのがおすすめです。今思い返すと、あらかじめ廃棄物を置いておけるスペースを室内外に確保しておくとよかったなと思います。とはいえ、廃棄には事前の申請も必要なのですぐに捨てられる訳ではないということも念頭に置いておく必要があります。全面改装ともなれば予想外のことも起きるものですが、想定しうることをすべて考慮してから取り掛かるに越したことはないと実感しました。例えば、壁を塗るのにどれくらい時間が掛かりそうかなどを想定して、もっと綿密なスケジュールを組んでおけば、より効率的に作業ができて時間を短縮できたのかもしれないなと。あとは、ホームセンターで板を切ってくれるサービスなどもありますので、家の近くにDIYで役立ちそうな便利なお店がないかを最初に調べておくといいと思います」(Yさん)
管理会社からもらった間取図をベースに、改装のイメージをまとめた資料を作成
管理会社からもらった間取図をベースに、改装のイメージをまとめた資料を作成
知識がない素人にはなかなか難しいという天井をはがす作業は義兄に依頼(平成25年7月ごろ)
知識がない素人にはなかなか難しいという天井をはがす作業は義兄に依頼(平成25年7月ごろ)
コツコツ仕上げて半年間! DIYで得た学びとは?
かくして、解体から半年くらいかけて、いまの住まいのかたちに仕上がった。
「電気は通っていてお風呂にも入れるので、仕事に通いながら作業しました。平日の朝は7時半に家を出て、深夜0時半に帰宅というサイクル。事前に隣近所のお部屋には挨拶しておいたのですが、帰宅後は近隣住民に迷惑にならない程度に、音が出ない壁塗り作業などをコツコツと進めていました。今思うとかなり熱中していたのだと思います。そして週末は、床張りなどの作業に徹しました。電気の配線工事は資格がないとできないためプロの方に依頼しましたが、それ以外の作業は、自分と妻と妻の両親と兄だけですべて行いました」(Yさん)
部屋のイメージは作業の進み具合に合わせて、その都度決めていたという。ウォールナット調の木の雰囲気などは、自分好みの雑誌に掲載されている『部屋作り特集』などを参考にイメージを膨らませていったそうだ。DIYに掛かった金額は、床材、壁塗りのペンキや廃材処分費など、トータルで約37万円。DIYリノベを決意した当初は予定していなかった額の出費だったとのことだが、部屋ができ上がったとき、これまでにない充実感と満足感を感じたそう。
この春、結婚を機に新居への引越しが決まっているというが、「情熱」「汗」「理想」「思い出」すべてが詰まっている部屋だけに離れるのが寂しい様子。
一番大変だったという床板張り作業。継ぎ目が重ならないように計算しながら木材をカットし、敷き詰めていく(平成25年7月ごろ)
一番大変だったという床板張り作業。継ぎ目が重ならないように計算しながら木材をカットし、敷き詰めていく(平成25年7月ごろ)
押し入れだった場所はカラフルにペイントして収納&ショーケースとして部屋のアクセントに(平成27年11月)
押し入れだった場所はカラフルにペイントして収納&ショーケースとして部屋のアクセントに(平成27年11月)
DIY賃貸の価値を客観的に評価できるフローと仕組みづくりを
YさんはDIYによるリノベの経験を伝えたいという思いから、本業であるウェブ広告の知識を活かし、DIYに役立つ情報をまとめた「CREATIVE HIKING」というサイトを2013年に立ち上げた。また、自身も趣味の一環でセルフリノベーションアドバイザーとして活動の幅を広げている。
さらに最近では、Yさん自らオーナーと管理会社に対して、DIYリノベによって物件に付加価値が生まれるケースがあることを訴えかけている。同時に、物件検討者に付加価値を伝える仕組みづくりと、入居者がDIYリノベに挑戦しやすくなるようなツール作成の必要性も提起している。
「DIYによって部屋がよりオシャレになったり、住みやすくなるということは物件の価値も向上しているはずです。そのことをオーナーや不動産会社に理解してもらい、次の入居者にも魅力を感じてもらって、さらに新しい入居者が『自分もDIYしてみたい!』と思ってもらえたらいいなと。そのために何ができるか考えたときにまず旧入居者から新入居者に対する部屋情報の引き継ぎと、DIYリノベの仕方を分かりやすく示した手引きがあるといいのではないかと考えました」
そこで、Yさんは退去する入居者に部屋の改装状況を具体的に記入してもらう「引き継ぎシート」の導入を不動産管理会社やオーナーに提案。例えば、DIYによって「天井が高くなった」「フローリングに無垢材を使用した」など、部屋に新たな付加価値を与えるようなDIYリノベの情報を可視化させることで、次期入居者募集時の検討材料のひとつとして提供。さらに「近くのおすすめ資材調達先」「改装時作業上の注意点」なども記入し、新しい入居者がDIYをする際の有益情報として活用してもらおうというもの。
また、「知識ゼロ状態でのDIYは、なかなか難しかった」というYさん自身の経験を踏まえて、解体方法や廃棄物処理、スケジュールのシミュレーションなどをまとめた「DIYの手引」や、改装時のルールをまとめた「DIY10則」をオーナーサイドが作成することも提案。初心者が戸惑うことなくDIYにチャレンジしてもらうためのツールとして役立つだけでなく、不動産会社やオーナー側がDIYのオペレーションにかける手間の削減にもつながる。
以前に比べると賃貸物件をDIYリノベする人が増えている一方、「興味はあるが、手間を考えると踏み切れない」という人も少なくない。そうしたなかで、Yさんの提案が導入されればDIYへの漠然とした不安を払拭してくれるだけでなく、部屋を貸す側も改装可能物件を薦めやすくなるはず。そんな可能性を予感させるYさんのDIYリノベへの挑戦を、これからも見守り続けたい。
DIYリノベした物件の価値を高めるべく、Yさん自ら資料を作成し不動産会社とオーナーに働きかけを実施
DIYリノベした物件の価値を高めるべく、Yさん自ら資料を作成し不動産会社とオーナーに働きかけを実施
「賃貸のDIYリノベ物件を次の入居者に魅力的と感じてもらうための方法を考えていきたい」とYさん
「賃貸のDIYリノベ物件を次の入居者に魅力的と感じてもらうための方法を考えていきたい」とYさん
取材・文/末吉陽子(やじろべえ)
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