YさんはDIYによるリノベの経験を伝えたいという思いから、本業であるウェブ広告の知識を活かし、DIYに役立つ情報をまとめた「CREATIVE HIKING」というサイトを2013年に立ち上げた。また、自身も趣味の一環でセルフリノベーションアドバイザーとして活動の幅を広げている。
さらに最近では、Yさん自らオーナーと管理会社に対して、DIYリノベによって物件に付加価値が生まれるケースがあることを訴えかけている。同時に、物件検討者に付加価値を伝える仕組みづくりと、入居者がDIYリノベに挑戦しやすくなるようなツール作成の必要性も提起している。
「DIYによって部屋がよりオシャレになったり、住みやすくなるということは物件の価値も向上しているはずです。そのことをオーナーや不動産会社に理解してもらい、次の入居者にも魅力を感じてもらって、さらに新しい入居者が『自分もDIYしてみたい!』と思ってもらえたらいいなと。そのために何ができるか考えたときにまず旧入居者から新入居者に対する部屋情報の引き継ぎと、DIYリノベの仕方を分かりやすく示した手引きがあるといいのではないかと考えました」
そこで、Yさんは退去する入居者に部屋の改装状況を具体的に記入してもらう「引き継ぎシート」の導入を不動産管理会社やオーナーに提案。例えば、DIYによって「天井が高くなった」「フローリングに無垢材を使用した」など、部屋に新たな付加価値を与えるようなDIYリノベの情報を可視化させることで、次期入居者募集時の検討材料のひとつとして提供。さらに「近くのおすすめ資材調達先」「改装時作業上の注意点」なども記入し、新しい入居者がDIYをする際の有益情報として活用してもらおうというもの。
また、「知識ゼロ状態でのDIYは、なかなか難しかった」というYさん自身の経験を踏まえて、解体方法や廃棄物処理、スケジュールのシミュレーションなどをまとめた「DIYの手引」や、改装時のルールをまとめた「DIY10則」をオーナーサイドが作成することも提案。初心者が戸惑うことなくDIYにチャレンジしてもらうためのツールとして役立つだけでなく、不動産会社やオーナー側がDIYのオペレーションにかける手間の削減にもつながる。
以前に比べると賃貸物件をDIYリノベする人が増えている一方、「興味はあるが、手間を考えると踏み切れない」という人も少なくない。そうしたなかで、Yさんの提案が導入されればDIYへの漠然とした不安を払拭してくれるだけでなく、部屋を貸す側も改装可能物件を薦めやすくなるはず。そんな可能性を予感させるYさんのDIYリノベへの挑戦を、これからも見守り続けたい。
DIYリノベした物件の価値を高めるべく、Yさん自ら資料を作成し不動産会社とオーナーに働きかけを実施
「賃貸のDIYリノベ物件を次の入居者に魅力的と感じてもらうための方法を考えていきたい」とYさん