中古住宅購入の注意点と選び方!失敗しない物件の見極め・内見のポイント

最終更新日 2022年10月24日
中古住宅購入の注意点と選び方!失敗しない物件の見極め・内見のポイント

住宅価格が高騰する昨今、新築よりもリーズナブルで手が届きやすい中古住宅にも注目が集まっている。しかし、築年数が古いというだけで「なんとなく不安……」というイメージを持つ人も少なくないのでは?そこで、SUUMOでは、中古住宅を購入するときの注意点と選び方を紹介。中古住宅の特徴や失敗しない物件の見極めや内見時のポイントについて解説。自分たちにぴったりの中古住宅を購入しよう!

中古住宅購入の注意点 メリット・デメリットとは?

中古住宅とは?

中古住宅とは、竣工から1年以上が経過している住宅または過去に人が居住したことがある住宅のこと。主に不動産仲介市場で取り引きされ、仲介会社を通して買う場合には仲介手数料が必要になる。
中古住宅の流通は近年増加傾向にあり、一戸建てにおいては年間50万戸以上の物件が市場に売り出されているのが現状だ。

中古住宅の市場動向のグラフ
既存住宅の市場動向のグラフ。近年では50万戸前後の中古住宅が供給されており、中古住宅に注目が集まる(公益財団法人不動産流通近代化センター「指定流通機構の活用状況について」のデータを基にSUUMO編集が図版作成)

中古住宅のメリット

新築物件よりもリーズナブルな価格で買えるのが、中古物件の大きな魅力。予算に余裕があれば、新築に比べて価格が安い上により広くて便利な立地の物件も狙えるので、希望条件をかなえやすいという側面も。中古物件は築年数の古いものから比較的新しいものまでさまざま。立地条件もそれぞれに違うため選択肢が多く、ライフスタイルにおける優先条件に合わせて住まい探しがしやすい。
また、近年は中古物件を買って自分好みにリノベーションをするという人が増えており、予算に応じて手を加えることで、自分たちにぴったりのマイホームを手に入れることができるのもメリットだ。建物の外観と内観など実物を見たうえで購入できることから、入居時のギャップが発生しにくい。

<中古住宅のメリット>

・新築に比べ価格が安い
・物件量が豊富で選択肢が多く、立地が選べる
・自分好みに手が加えられる
・実物を見て、納得してから選べる

中古住宅のデメリット

中古住宅のデメリットとしては、構造の見えない部分の状態を確認できない点が挙げられる。表面からは構造部分の状態が分からないため、リフォーム工事で解体をした際に、柱や梁などの骨組みが傷んでいることが分かって、想定外の追加費用が発生するケースも。築古物件の場合、設備・水まわり・間取り・構造面の老朽化や、床や壁が薄く音が響きやすいなどのデメリットもある。
また、中古住宅の場合は瑕疵担保期間が短く、新築は構造耐力上の主要部分と雨水の浸入を防ぐ部分について10年間の保証がある一方、中古住宅は売主が法人の場合で2年間、売主が個人なら数カ月、なかには保証がない建物もあるので、契約書を確認するなど注意が必要だ。

<中古住宅のデメリット>

・構造の見えない部分の状態を確認できない
・設備・水まわり・間取り・構造面の老朽化
・瑕疵担保期間が短い

失敗しない中古住宅の選び方のポイントは?

基本性能工事のコストが低く済む、耐震性が担保された物件を選ぶ

購入対象となる中古住宅の目安としては、木造住宅の耐震基準が高い改正建築基準法(現行法)が施行された2000年6月以降に建築確認申請された家を選ぶと良い。
同様に、2000年以降では住宅性能表示制度がスタートしていることから、耐震等級で構造の強さが示されている住宅もあり、こういった住宅のほうがより一層安心と言える。また、大手ハウスメーカーの住宅には一定の安心感があるものの、メーカー独自の工法で型式認定を取得しているケースも多い。この場合は一般的な耐震診断ができない点には注意が必要だ。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の令和元年「耐震診断実施者アンケート調査」によると耐震補強工事を行う際には、その工事費の平均額は築年数によっておよそ100万から200万円程度かかるケースが多い。しかし、2000年以降の現行法下で建てられた家なら、必要とされる耐震性が確保されているので費用を抑えることができる。

耐震補強工事を施した写真
2000年以前の物件の場合は、現行法で必要とされている耐震性能を満たしていないことが多い(画像/PIXTA)

工法ごとの間取りの変更自由度を把握しておこう

間取りを変更するリノベーションを行う場合、変更しやすい工法とそうでない工法があるので注意が必要だ。一戸建て住宅に最も多い「木造軸組工法」のように、柱と梁で構造が組まれている工法の家は、壁をとって間取りの変更をするのが比較的容易であるため、大幅に間取り変更するケースに適している。
一方、「2×4工法」は、壁で建物を支える構造のため、取り払えない壁が多く、間取りの変更に制約が生じる。「RC(鉄筋コンクリート)造」はラーメン構造と壁式構造の2タイプあり、ラーメン構造なら改変可能だ。また、「プレハブ工法」は素材によって木質系、鉄骨系、コンクリート系に分かれるが、一般的に「鉄骨系プレハブ工法」は柱と梁の構造なので間取りの変更がしやすく、木質系、コンクリート系は壁式構造となり間取り変更がしにくい場合が多い。

築20年程度の築古物件は土地代だけで買えることも

日本の中古住宅は、建物自体が築20~30年で不動産としての評価がゼロになり、解体を前提とした『古家付き土地』として売られていることがある。そうした築古物件は、土地代のみで購入することが可能。購入コストを抑えれば、その分リノベーションに費用を割けることから、状態の良い家を見極められれば、耐震補強工事や劣化部分の補修などによって長く住み継ぐことができる。居住性能が向上するリノベーションによって新築同等の快適な住環境を手に入れることも可能だ。

買取再販の中古物件を選ぶ

買取再販とは、ハウスメーカーや不動産仲介会社、買取再販専門会社が新築や中古の物件を購入し、一般の購入希望者に販売すること。最近では、買い取った中古物件の状態を検査後、補修やリフォームをして価値を高めたうえで販売するケースも。買取再販を行う会社は相場よりも安く物件を買い取っているケースが多く、リフォームもグループ会社や提携会社で行うことで、個人で購入してリフォームするよりも費用が抑えられる。リフォーム済みなので、支払いが済めばすぐに入居が可能。全額現金で支払えば即入居もでき、住宅ローンの場合は購入申し込みから入居まで1カ月程度が目安になる。

また、中古住宅の購入においては一般的に仲介手数料が必要だが、買取再販を行う会社自らが売主となっている場合、間に不動産会社が入らなければ、購入時の仲介手数料はかからないのもメリットだ。
その一方で、再販する前提で行われるリフォームは最低限の範囲や内容にして金額を抑えることが多いため、表面的な見た目のみ綺麗にリフォームをしていて隠れた部分や給排水管などは古いままになっているケースも。リフォームを発注している不動産会社自身が工事内容を正確に把握できていないといったことも起きやすいので、工事内容や施工品質に問題がないかどうか注意が必要だ。

買取再販のしくみ
リフォームで隠れてしまう部分も、販売前にプロの目で検査・補修されていれば安心だ(図作成/SUUMO編集部)

保証付き物件を選ぶ

保証付き物件とは、仲介会社が中古一戸建てや中古マンションの建物の性能や住宅設備の状態などを、社内、または外部の専門家に診断を依頼し、独自の基準をクリアしていれば修繕費などに対する一定期間の保証をつけて販売する中古住宅のこと。万が一、不具合があっても対象部であれば保証してもらえるので安心だ。売主との契約前に検査・調査をしていることから、一定水準が保証された物件を購入する安心感も。
買主には建物の検査費用や保険料などの費用負担はないが、引き渡し後3カ月程度は仲介会社に仲介手数料を払った人が、中古物件引き渡し後の保証対象になるのが一般的だ。仲介会社によって保証期間は異なるが、1~2年程度とするケースが多い。仲介会社は同じでも物件によって保証期間が違うケースもあるので、あらかじめ確認しておきたい。

保証付き物件の仕組み
仲介会社ごとに検査内容や保証内容が異なるため、保証付き物件を扱っているかだけでなく、内容もしっかりと確認を(図作成/SUUMO編集部)

中古住宅の内見時に気を付けてチェックすべきポイントは?

住宅の劣化の度合い・構造を確認する

安心できる物件選びのために、建物の性能・構造に関するチェックポイントを押さえておこう。建築士などのプロに見てもらったり、住宅診断(ホームインスペクション)の調査員に依頼して、第三者の専門家のチェックを受けることで、欠陥住宅を買うリスクを避けることができる。メンテナンスの必要な時期やその費用の目安が分かるほか、診断結果が建物の状態の良さを示す資料にもなる。

費用は検査項目によって異なるが、目視での標準的な診断で5万~8万円、より詳細な調査範囲や特殊機材を使うオプションを付けると10万~16万円、耐震診断を希望する場合は別途数万円程度~が目安だ。2013年に国交省が診断方法や診断項目に一定の基準を設けたガイドラインを策定したが、会社によって内容はさまざまなので、検査項目は事前に確認を。

<中古住宅のチェックポイント>

□水道のさび水
さび水が出ないか。管の清掃や取り替えなど修繕履歴はあるか
□給排水管のつまり
お風呂に水を溜め、勢い良く排水されるか。修繕履歴の有無も確認
□傾き
室内の床に立って、傾きを感じることがないか
□換気扇の吸い込み
空気が流れるかどうか、実際に換気扇を回してみる
□電気容量・電気配線
契約アンペア数、容量アップや配線工事が可能か、費用も含め確認
□天井
劣化でシミが発生していないか、低さや梁による圧迫感がないか
□床、スラブ厚・基礎のコンクリート厚
厚さや防音フローリングなど音対策の有無。リフォームの制約など
□外壁・基礎
外壁や基礎部分にひび割れ、表面のはがれ、雨垂れのシミはないか
□柱
傾きがないか、重りをつけた糸などを垂らしてチェックする
□耐震構造
1981年以前の旧耐震基準の物件は耐震診断・補強しているか。また施工に問題はないか
□雨漏り
天井や壁にシミはないか。家具を動かしたり天井裏もできれば確認
□空調方法
機器に不具合がないか。全館空調の場合は電気使用量の規定もチェック

築年数に応じた管理の状況や居住者のコミュニティーを確認する

マンションの場合、建物が古いほど、メンテナンス状態は管理の影響を受けるため、管理状況や居住者のコミュニティーも確認を。これまでの修繕工事の実績、今後の修繕計画、修繕積立金の残高に不足はないかといったことを確認しよう。古くからの居住者のライフスタイルに左右されることも多いため、売主や管理組合の理事長にコミュニティーの様子を聞いておこう。

<中古マンションのチェックポイント>

□修繕履歴書の有無
必要な修繕が実施されているか。計画など書類が保管されているか
□収支決算報告書
管理費や修繕積立金の滞納がないか、管理組合の収支をチェック
□長期修繕計画
25年以上の計画が策定され、修繕積立金残高に不足がないかを確認
□共用スペース
外廊下に私物がないか、自転車置場が乱雑でないかなどのマナー面
□セキュリティ
管理員の駐在時間、死角になる場所がないか、監視カメラの有無
□ペット
飼育できるか、可能な場合は飼える種別や数、サイズもチェック
□居住者の賃貸・事務所比率
賃貸や事務所の比率が高いと物件への愛着や意識が薄いといわれる
□居住者の年齢層
居住者の年齢や構成については管理組合理事長や売主に聞いて確認
□居住者向け掲示板
居住者同士の交流が活発か、サークル活動やイベントの有無を確認
□フロントサービス
サービスの内容、料金、窓口が開いている時間帯・曜日など
□管理組合の活動
理事の選出方法、総会の出席率、理事会の開催頻度などをチェック
※長期修繕計画などは仲介会社に依頼すれば管理組合や管理会社から取り寄せてもらえる 
※コミュニティー活動などの様子は居住者に聞くとよい

リフォームが可能な箇所と程度を確認する

築古のマンションは配管工事などに莫大な費用がかかることもあるため、入居前後にどの程度のリフォームが必要か、またそれが可能かどうかを知っておくことも大切だ。
マンションは原則的に専有部分である室内はほぼできるが、バルコニーや窓など共用部分は勝手にリフォームすることはできない。管理会社か管理組合への相談・チェックが必要になる。一戸建ては大体のリフォームは可能だが、建築基準法や地方自治体の条例によって定められた制約を守ることが前提となっている。プラン策定前に必ず確認を。

中古一戸建ての選び方、築浅?築古?リフォームありなし?自分に合った物件は?

中古物件の場合、現地見学の際に多くの情報を入手することができる。リフォームの必要性やどの程度の予算をかけられるかなどは物件によって変わってくるので、下記の3タイプの中古物件を見に行って自分に合った物件を選ぼう。

特徴
築浅
  • 建物の状態は3つの中で一番良い
  • リフォーム予算を考えておらず、そのまま住むことができる家が欲しい人向け
築古+リフォームなし
  • 築浅物件より、建物の状態は劣るが、物件価格は3つの中で一番安い
  • 物件価格を抑えて、リフォームに予算を使いたい人向け
築古+フルリフォーム
  • 築年数は経っているが、フルリフォームされているので建物状態は良い
  • リフォーム代は考えていないが、きれいな室内の家が欲しい人向け

増築できない、住宅ローンを組めない物件があるので要注意!

次のような土地の場合、基本的に住宅ローン融資を受けられない、もしくは融資限度額が低く設定されるため、住宅ローンで購入費用やリノベーション費用の支払いを考えている人は、注意が必要だ。

「再建築不可」物件

通常、建物を建てるための土地は建築基準法で、幅4m以上の道路に敷地の2m以上が接している必要があるが、その接道条件を満たしていない土地には、新たに建物を建築することができないので注意が必要だ。リフォームをして住むことはできるものの、増築など建築確認申請が必要な工事はできない物件を「再建築不可」物件という。

再建築不可物件
幅4m以上の道路に敷地の2m以上が接しているという接道条件を満たしていない土地には、新たに建物を建築することができない(図版作成/SUUMO編集部)

「要セットバック」の物件

敷地に接する道路の幅が4m未満の土地では、「セットバック」といって、4m以上の道路幅を確保できるよう、建物を建てられる範囲が制限される。また、将来、道路幅を片側2mに拡張することが決まったら、建物の一部を取り壊して「減築」しなければならない。

要セットバックの物件
もし建て替えとなった場合は、要セットバックの部分を避ければ新築を建てることは可能(図版作成/SUUMO編集部)

「建ぺい率」「容積率」オーバーの物件

新築後に建築基準法が改正されて適合しない建物になったものを「既存不適格」物件と言う。「建ぺい率」と「容積率」がオーバーしている物件は、住宅ローンが使えない場合が多いので注意が必要だ。建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合で、100m2の土地で建ぺい率が70%なら、建築面積70m2の建物を建てることが可能。容積率とは敷地面積に対する延床面積の割合で、100m2の土地で容積率が150%なら、延床面積150m2の建物を建てることができる。既存不適格物件は違法ではないものの、安く買えてたとしても売りにくい。

中古住宅の特徴を知り、リノベーションなどを施すことで、リーズナブルに新築住宅にも負けない快適な住まいを手に入れられることも。中古住宅のメリット・デメリットや中古住宅の選び方、内見のポイントを押さえたうえで、自分たちのライフスタイルに合った住宅を購入しよう。

まとめ

中古住宅の流通数は多く、新築物件よりもリーズナブルな価格で買えるのが大きな魅力。一方、構造の見えない部分の状態を確認できないため、追加で工事費用が発生する場合も

中古住宅は、木造住宅の耐震基準が高い改正建築基準法(現行法)が施行された2000年6月以降に建築確認申請された家を選ぶと良い

中古住宅を購入してリフォームを考えている場合は、工法ごとの間取りの変更自由度を把握しておこう

安心できる物件選びのために、内見時には建物の性能・構造面のチェックを。建築士などのプロに見てもらう、の調査員に依頼して、第三者の専門家のチェックを受けるのもオススメ

中古一戸建てを探す
注文住宅の会社を探す
リフォーム会社を探す
中古マンションを探す
賃貸物件を探す
引越し見積もりをする
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
新築一戸建てを探す
売却査定する
土地を探す
新築マンションを探す
カウンターで相談する
文/金井さとこ
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る